老化促進モデルマウス (SAM) 肝GOT活性の細胞内局在とアイソザイムにみられる老化特徴
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概要
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著者らの教室では, 加齢に伴う老化徴候の生化学的指標をみいだすため, 京都大学胸部疾患研究所より老化促進モデルマウスであるSAM-P/8系 (正常な成長・発育ののち急速かつ不可逆的に老化徴候を発現する) と対照であるSAM-R/1系の分与を受け, 本学実験動物施設のコンベンショナル環境下でSAM-P/8//ODUおよびSAM-R/1//ODUとして継代維持している. 今回の実験では, このモデルマウスを用いて臓器代謝の中心である肝からGOT (aspartate aminotransferase) を抽出し, その活性発現, 細胞内小器官における活性分布およびアイソザイムパターンにみられる加齢変化を血清GOTと比較しながら検討した. 老化現象の一つとされる体重減少は, P系の35週齢時からみられ, また, 肝の体重比および血清総タンパク量もP系では17週齢以降加齢に伴って減少し, R系より老化が促進していることが示唆された. さらに, 血清および肝のGOT活性は, P系の37週齢では血清の活性が上昇 (GOT>GPT) したのに対し, 肝では低下 (GOT<GPT) し, 加齢に伴うGOTの血中遊出の進行が示された. 肝GOTの活性は, 7週齢では両系ともミトコンドリア, リソゾームおよびミクロソーム画分にほぼ均等に分布していたが, 37週齢ではミトコンドリアと細胞質上清画分で増加, リソゾーム画分で減少し, P系ではさらにこの変化が顕著に現われた. また, ミクロソーム画分の活性分布も減少した. セロゲル電気泳動によるGOTアイソザイムの分離では, 両系とも, ミトコンドリア, リソゾームおよび細胞質上清画分にはGOT-IとGOT-II, ミクロソーム画分にはGOT-IとGOT-IIIの各2個のアイソザイムが週齢に関係なく得られた. このアイソザイムバンドのデンシトグラムからアイソザイムの加齢に伴う量的変動を分布率として求めると, ミトコンドリア画分におけるGOT-IとGOT-IIの割合は加齢に伴って変動し, その傾向はP系で強く発現した. 以上の結果から, P系の37週齢時における肝では肝細胞の変性あるいは肝生体膜の透過性亢進が起こっていることが示され, それは促進老化に伴う加齢変化であることが推測された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1991-10-25
著者
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