咬合力に対するインプラントブリッジと天然歯ブリッジとの緩衝機構の相違について
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概要
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健全な天然歯列を対照として, 一端が天然歯支台, 他端がインプラント支台のブリッジ (以下, インプラントブリッジ) と, 両端が天然歯支台のブリッジ (以下, 天然歯ブリッジ) とを装着して咬合させたときのサル下顎骨に及ぼす力学的反応をストレインゲージ法で, また両ブリッジに垂直荷重を加えたときの変位パターンを摘出直後にホログラフィー干渉法を用いて検討した. ストレインゲージ法の実験から, インプラントブリッジに咬合力を加えると, 下顎骨に生ずるひずみの量は対照や天然歯ブリッジに咬合力を加えたときよりも小さく, またどの部位で咬合させてもひずみの量はほぼ同じ大きさであることがわかった. また, 主ひずみの方向はどの測定部位においてもほぼ一致していた. すなわち, インプラントブリッジによる咬合では下顎骨に大きな応力は集中しないことが判明した. これに対して, 天然歯ブリッジに咬合力を加えると, 下顎骨に生ずるひずみの量は大きく, また主ひずみの方向は測定部位によって違っていた. すなわち, 天然歯ブリッジに咬合力が加わると, 下顎骨に複雑なねじれの現象が起こる. また, ホログラフィー干渉法の実験から, 天然歯ブリッジにおいてはどの部位に荷重を加えてもブリッジは一体となって沈下するが, インプラントブリッジにおいてはポンティックの直前の天然歯支台 (第二小臼歯) に荷重を加えたときには天然歯支台の上部構造は前下方へ, ポンティックおよびインプラント支台の上部構造は後下方へ変位する. この現象が長期間続くと, ポンティックの近心部に応力が集中して同部位が破折するか, あるいは天然歯支台およびインプラント支台を前後に変位する結果, 両支台の周辺に大きな応力が生じて骨吸収を起こさせる原因となることが明らかになった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1991-04-25
著者
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杉村 忠敬
大阪歯科大学生理学教室
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杉村 忠敬
大阪歯大・生理
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杉村 忠敬
朝日大歯・口腔生理
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杉村 忠敬
大阪歯科大学大学院歯学研究科生理学専攻
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杉村 忠敬
大阪歯科大学生理学講座
-
花岡 繁樹
大阪歯大・生理
-
花岡 繁樹
大阪歯科大学生理学講座
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