歯周ポケットへの線維素溶解酵素と抗生物質の貼用に関する研究(大阪歯科大学大学院歯学研究科博士(歯学)学位論文内容要旨および論文審査結果要旨の公表)
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概要
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歯周病の主原因は細菌性のプラークである.したがって, 歯周病治療のおいて, 歯肉縁上および縁下のプラークコントロールが重要となる.歯肉縁下の深い部分のプラークは, プロフェッショナルクリーニング, すなわち, 歯科医師あるいは歯科衛生士による除去が必要である.このプロフェッショナルクリーニングには, 機械的方法であるスケーリング, ルートプレーニング, 歯周ポケット掻爬と抗性物質や抗菌剤などの投与による化学的方法とがある.近年, スケーリングやルートプレーニングに併用して, 抗性物質のlocal drug delivery system(LDDS)が注目され, 投与薬剤, 投与時期, 投与方法などについて多方面から研究がなされ, その有効性, 有用性が確認されている.とくに, ペリオクリン^【○!R】は, 塩酸ミノサイクリンによるポケット内嫌気性菌, なかでもPorphy-romonas gingivalisやPrevotella intermedia / nigrescensなどの歯周病原細菌のコントロールを目的として, 広く一般臨床に応用されている.そこで, 本研究では, 血液凝固物や線維性滲出液を溶解するフィブリノリジンとDNAあるいはDNA-タンパク複合体に直接作用し, 膿性滲出物の粘稠度を下げるDNAaseを配合した線維素溶解酵素剤であるエレース軟膏^【○!R】を単独およびペリオクリン^【○!R】との併用投与を試み, その効果について臨床的および細菌学的に検索を行った.被験者は, 全身疾患がなく, 上下顎左右側前歯および小臼歯(できる限り離れた部位)に3歯以上4mm以上9mm以下のポケットを有する成人性歯周炎患者で, 過去3か月以内に抗性物質の投与を受けていない者15名とした.群構成は, 実験開始前にプラークコントロール, スケーリングを行ったのち, 1週間に1回プラークコントロールの状態を確認したコントロール群(A群), エレース軟膏^【○!R】を1週間に1回, 4回連続投与する群(B群), ペリオクリン^【○!R】を1週間に1回, 4回連続投与する群(C群), エレース軟膏^【○!R】とペリオクリン^【○!R】を併用し1週間に1回, 4回連続投与する群(D群)の4群を設定した.検索時期は, 臨床的および細菌学的検索ともスケーリング前と実験開始後4週目とした.臨床的検索は, Probing depth(PD), プロービング後の出血(BOP), 排膿(PUS), gingival index(GI), およびペリオトロンによる歯肉溝滲出液量(GCF)の5項目とした.細菌学的検索は, 実験前後の4群の歯周ポケットから細菌を分離し, 総菌数と黒色色素産生嫌気性グラム陰性桿菌(BPNAR)数および全コロニー数に対する偏性嫌気性菌とBPNAR数の割合を比較した.さらに, 臨床離菌株に対する塩酸ミノサイクリン単独群およびエレースと塩酸ミノサイクリンとの混合剤の最小発育阻止濃度(MIC)を測定した.結果 1)各実験群ともに, すべての臨床パラメーターは, 投与後改善傾向がみられた.2)投与前後のすべての臨床パラメーターの変化量は, A群とD群の間に有意差が認められた.3)各実験群のPD, GCFおよびPUSの変化量は, BおよびC群とD群との間に有意差が認められた.4)各実験ともに細菌学的検索における総菌数, BPNAR数, 偏性嫌気性菌株の割合およびBPNAR数の割合は, 投与後減少傾向を示した.なお, CおよびD群では投与後BPNARの出現が認められなかった.5)投与前後の偏性嫌気性菌の割合, BPNAR数, BPNAR数の割合の変化量は, A群とCおよびD群との間に有意差が認められた.6)投与前後の偏性嫌気性菌の割合の変化量は, C群とD群との間に有意差が認められた.7)臨床分離菌株に対するMIC検索で, エレース^【○!R】と塩酸ミノサイクリンとの混合剤のMICは, 塩酸ミノサイクリン単独群より低濃度に推移した.これらの結果から, エレース軟膏^【○!R】とペリオクリン^【○!R】の併用はペリオクリン^【○!R】単独使用よりも有効であることが確認できた.
- 2000-06-25
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