サル顎下腺細胞膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカンmRNAの発現(大阪歯科大学大学院歯学研究科博士(歯学)学位論文内容要旨および論文審査結果要旨の公表)
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概要
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細胞膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)としてシンデカンとグリピカンの2つのファミリーが知られている.シンデカンのコアタンパク質は, 数本のヘパラン硫酸鎖が結合した細胞外ドメイン, 疎水性の細胞膜貫通ドメイン, および細胞内ドメインの3つのドメインから構成され, 一方, グリピカンは, コアタンパク質のC末端がグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)に共有結合し, その脂肪部位が細胞膜に貫入したかたちで細胞膜に結合している.これらの細胞膜型HSPGは, 成長因子などの生理活性物質との相互作用や, 細胞間, 細胞-細胞外マトリックス間接着制御を通じて細胞機能の調節に重要な役割を果たすものと考えられる.最近, 私たちは, サル顎下腺のPGを細胞膜PGと細胞外PGに分けて抽出し生化学的に解析したところ, 細胞外HSPGが, 細胞表層より遊離した細胞膜HSPGのエクトドメインであることを示唆する結果を得た.そこで, 本研究ではサル顎下腺で細胞膜型HSPGが合成されているかどうかを明らかにするためにRT-PCRでシンデカン-1, シンデカン-2, シンデカン-4およびグリピカン(グリピカン-1)mRNAの発現を調べた.顎下腺試料からRNAase freeの条件下でRNAを抽出したのち, ランダムヘキサマーをプライマーとして逆転写酵素でcDNAを合成し, これをテンプレートとしてPCRを行った.サルのシンデカンやグリピカンのcDNAに関する情報は皆無なので, 動物種間で相同性の高い部位(糖鎖結合部位, 細胞膜貫通および細胞内ドメイン)を選択し, ヒトのcDNAからプライマーをデザインした.増幅PCR産物はアガロースゲル電気泳動で分離, エチジウムブロマイドで染色して検出した.その結果, シンデカン-1, シンデカン-2, シンデカン-4およびグリピカンのすべての分子のmRNA発現を認めた.さらに, サイクル数によるPCR産物の増加を電気泳動像から解析したところ, 発現の相対量は, シンデカン-4>シンデカン-1, シンデカン-2>グリピカンの順であった.本実験で最も多く発現していたシンデカン-4は, 細胞内ドメインにプロテインキナーゼC(PKC)と結合してPKCを活性化する配列をもつことが, ごく最近明らかにされた.さらに, シンデカン-2の細胞内ドメインはPKCによってリン酸化されうることも報告されている.したがって本研究の結果は, 顎下腺において, 細胞外シグナルとシンデカン-4の結合, シンデカン-4による細胞内PKC活性化, PKCによるシンデカン-2細胞内ドメインのリン酸化のような一連の細胞外-内シグナル伝達系が存在する可能性を示唆している.したがって, シンデカンやグリピカンの発現の制御は細胞の微細環境の維持だけでなく細胞機能の調節にも重要であると考えられる.
- 2000-06-25
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