歯科矯正学的立場からみたMandibular symphysisと顎顔面骨格との関係
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概要
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矯正歯科の診断ならびに治療に重要な要素である mandibular symphysisの形態と, 他の顎顔面骨格を示す計測項目との相関性を総合的に検索した. 症例は骨格的に著しい成長変化を示した症例(成長が終了した状態) 120名(O群: open bite, L群: low angle Class II, P群: 外科的矯正治療を必要とした skeletal Class III, 男女各20名)を抽出し, 各症例についてセファロ分析および symphysisの面積(海綿骨部, 緻密骨部)の測定を行い統計学的に調査した. すべての症例で, 下顎前歯を含めたsymphysisの高さは全前顔面高との相関性が非常に高く, とくに下顎前歯根尖から下顎骨下級までの高さは下顔面高と強い相関を示した. さらにO群, P群ではこのsymphysisの高さはFMA, Gonial angleの開大とも強い正の相関を示し, L群では負の相関を示した. また, symphysisの高さと厚径の増大は, 下顎骨根尖部付近で影響を受けていた. 下顎前歯の歯軸傾斜は, P群で舌側傾斜の傾向, L群では唇側傾斜傾向を示し, P群ではsymphysisの傾斜と下顎前歯の傾斜が同一方向であった. Symphysis上方の歯槽部では, 下顎前歯の動きが密接に関連し, 下方部の骨体部は影響されないことから, symphysisは上方の下顎前歯で代表される歯槽部 symphysisと, 下顎骨骨体で代表される骨体部 symphysisとに2別する必要性を認めた. symphysisの総面積は下顎骨体部の長さ, Gonial angleの開大程度, symphysisの高さとも密接に関連し, とくに骨体部の長いものが総面積が大きかった. また, P群のような海綿骨の乏しい緻密骨性 symphysisは,下顎前歯と symphysisの傾斜が相関し, O群でもややその傾向がみられた. L群では, 全体的に海綿骨部および緻密骨部の面積が大きい傾向を示した. 以上, 歯科矯正学的に特異な症例群の symphysisは, 歯槽部と骨体部の symphysisとの関係, symphysis部の面積, さらに顎顔面骨格とは強い関連性のあることが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1995-06-25
大阪歯科学会 | 論文
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