非接触型三次元曲面形状計測装置による顔面模型の検討
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概要
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顎変形症患者の術前矯正治療開始時および外科的矯正手術時における治療計画を行うにあたって, 患者の顔貌を客観的に把握し, 手術術式を選択する目的で顔面模型が作製され, 診断の補助として用いられている. しかし, 印象法によって作製された顔面模型は印象時の圧迫の影響による変形で必ずしも生体のあるがままの形態を表現してはいないと考えられている. ところが, 生体を非接触状態で計測を行うことが困難であったために, その実態は明らかでない. 一方, 産業界では非接触の形状計測が実用段階に入ってきており, 今回, 顔面模型の作製過程における印象採得時の変形を検討するとともに非接触三次元曲面形状計測の有する意義を明確にするために, 被験者6名の顔面模型を採得し, 模型と生体それぞれを非接触型三次元曲面形状計測装置を用いて三次元的に形態計測を行った. 得られた両者の三次元データのうち, 一方をパーソナルコンピュータ上で最小自乗法を用いて, 最もフィットする位置ヘ座標変換し, 6対のデータを評価した. 評価方法は被験者の正貌に対して, 正中, 左右内眼角, 左右瞳孔, 左右外眼角および左右下顎角を通る9本の垂直線(Y軸方向)と鼻下点(Sn), 上赤唇縁(Ls), 上下口唇接触点(Stm), 下赤唇縁(Li), オトガイ唇溝(SI)およびポゴニオン(Pog)を通る6本の水平線(X軸方向)を引き, そのおのおのの交点54箇所を計測点として接触距離を計算し, 被験者6名の平均値と標準偏差を算出した. また, コンピュータグラフィックを用いて接触距離の大きさに応じて16色の疑似カラー表示で顔面部全体における接触距離の差異を表現した. その結果, 右側下顎角を通るY軸と鼻下点を通るX軸との交点, 右側瞳孔を通るY軸とPogを通るX軸との交点, 右側内眼角を通るY軸とSn, Ls, Stm, Li, Pogを通るX軸との各交点, 正中線とSIを通るX軸との交点, 左側内眼角を通るY軸とSn, Ls, Stmを通るX軸との各交点で圧迫を示す値が得られた. これは圧迫を受けている部位は左右鼻翼から下顎角に向けて走る部分であることを示している. 以上のことから, 印象法による顔面模型では皮下組織の厚い部分での変形が大きく, この分野での用途においては将来的には非接触三次元曲面形状計測により作製された顔面模型に置き換えることがより正確に形態を把握するうえで望ましいことが示唆された.
- 1995-02-25
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