ヌードマウス移植ヒト口腔癌に対するCDDP併用局所温熱化学療法の抗腫瘍効果
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概要
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温熱療法は単独でも抗腫瘍効果が認められるが, 一般には放射線療法, 化学療法との集学的治療として用いられている. cis-Diamminedichloroplatinum(CDDP)は, 頭頸部腫瘍において頻繁に用いられる薬剤で, 種々の併用療法が行われている. CDDP併用局所温熱化学療法もその一つであるが, in vivoにおける基礎的検討はほとんどなされていない. そこで, 本研究ではヒト口腔癌由来のKB細胞をヌードマウス上に固形腫瘍として発育させたものを用い, CDDP併用局所温熱化学療法による抗腫瘍効果および副作用について検討を行った. 実験材料および方法 実験腫瘍としてはKB細胞(poorly differentiated epidermoid carcinoma)を用いた. 実験動物は4週齢の雌のヌードマウス(BALB/cA)で, その大腿皮下に固形腫瘍を挿入移植し, 移植20日後, 腫瘍長径が約8mm前後になったものを1群5匹として実験に供した. CDDPはランダ^<(R)>注を生理食塩液にて5倍希釈し, 腹腔内に投与した. 加温はデジタル恒温槽を用い, ヌードマウスを全身麻酔後, 著者が作製した固定具に入れ, 腫瘍部近心側が水面下約1cmになるようにテープで固定し, 局所加温を行った. 抗腫瘍効果の判定は, 担癌無治療群を対照群とし, 各群の相対平均腫瘍重量比の比較で行った. 方法としては, まず腫瘍の短径(a), 長径(b)をノギスで測定し, 推定腫瘍重量[W(mg)=(a^2×b)/2]を得た. 次いで各群の相対平均腫瘍重量比(relative mean tumor weights, RW_n=W_n/W_0, daynとday 0)を算出した. 副作用の検討は, 無担癌無治療群を対照群とし, 各群の相対平均体重比(relative mean body weights, RBW_n=BW_n/BW_0)により行った. CDDP併用局所温熱化学療法に先だって, CDDP, 加温それぞれの単独群について実験を行った. CDDPについては1, 3, 5, 7mg/kgを, 加温については39, 41, 43, 45℃, 30分間加温を3日間隔で3回行い, その抗腫瘍効果, 副作用を検討した. その結果, CDDP 5, 7mg/kg単独群においてRW_<20>値が0.1を下回り, 45℃単独群では腫瘍が完全に消失した. 以上の単独群の実験結果から, 温熱化学療法群は, CDDP 1, 3mg/kg, 加温39, 41, 43℃, 30分間加温のそれぞれを組み合わせ, 3日間隔で3回行うこととした. なお, 温熱化学療法群におけるCDDPの投与は加温直前に行った. 併用効果の判定には, 実験開始後20日目の相対平均腫瘍重量によるT/C比(T/C of the relative mean tumor weights, TRw/CRw, T:治療群, C:対照群)の値を用い, 温熱化学療法群のT/C 値と, 各単独群のT/C値の積を比較する方法を採った. また, CDDP単独群と温熱化学療法群のRW_<20>値の比により, 加温温度別増感率を算定した. 実験結果 1. CDDP併用局所温熱化学療法は, 相乗効果を示した. 2. CDDPによる抗腫瘍効果は, 39℃加温に比べ43℃加温で約6倍に増強した. 3. CDDP併用局所温熱化学療法群における体重減少は, CDDP単独群と同程度で, 回復傾向も十分みられた. 以上より, CDDP併用局所温熱化学療法は抗腫瘍効果が高く, 副作用の少ない治療法と考えられた.
- 1993-12-25
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