ペリクルとくにグリコプロテイン膜のイオン透過性について
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概要
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ペリクルは, エナメル質に直接付着している無細胞, 無構造の細菌の存在しない有機質性被膜で, 主として唾液由来のグリコプロテインからなる. 本研究では, エナメル質表面の状況を想定して設計したdiffusion chamberを用いて, 各種膿度のグリコプロテインの介在が水素イオン, カルシウムイオンならびにリン酸イオンの透過に与える影響を調べた. また, グリコプロテイン膜の物理化学特性, とくに疎水性および表面電位に及ぼす脂質の影響についても検討を加えた. グリコプロテイン膜は, グリコプロテイン (α_1-acid-glycoprotein), 脱脂グリコプロテインおよび脱脂グリコプロテインにコレステロール (CH) またはホスファチジルコリン (PC) を加えたものとした. グリコプロテインの濃度が高くなるにつれてイオンの透過速度は減少した. いずれの濃度においても, グリコプロテインは脱脂グリコプロテインよりも高いイオンの透過阻止をした. CH膜よりもPC膜は高いイオンの透過阻止をした. PC膜の疎水性および表面電位はCH膜よりも高い値を得た. 以上の結果から, グリコプロテイン膜は歯面への酸の侵襲から保護すること, またカルシウムイオンおよびリン酸イオンを保持することと, 脂質はグリコプロテイン膜の性状に影響を与え, エナメル質脱灰の防止に重要な役割を果たすことなどが示唆された.
- 1991-02-25
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