脱灰過程のエナメル質におけるフッ素による脱灰抑制効果についてIntraoral fluoride releasing systemを想定して
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概要
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低濃度のフッ素を徐放するIntraoral fluoride releasing device (以下IFRD) の使用を想定して, 脱灰過程のエナメル質における脱灰抑制効果を検討した. フッ化ナトリウムを含む酢酸緩衝液 (pH4.4, フッ素濃度0.3, 1.0, 10.0および100.0ppm) でウシエナメル質を脱灰した. また, 同様のフッ素濃度の浸漬液に長期間 (30, 60および90日) 浸漬した試料をフッ素を含む酢酸緩衝液で脱灰することにより, フッ化物溶液浸漬による脱灰抑制と脱灰液へのフッ素添加による脱灰抑制との複合効果について実験的に検討し, 以下のような結果を得た. 1. 脱灰液中のフッ素濃度が高いほどエナメル質の脱灰量は減少した. また, 脱灰時間が経過するに従って脱灰量は減少傾向を示し, その傾向は脱灰液中のフッ素濃度が高こほど著明であった. 2. Abrasive法により脱灰エナメル質に取り込まれたフッ素量を測定したところ, 脱灰液中のフッ素濃度が高いほどエナメル質深部にまで多量にフッ素が取り込まれていた. また, いずれの実験群においてもエナメル質の脱灰層に多量のフッ素が認められた. 3. 脱灰後の反応生成物をエックス線回折法により定性分析したところ, 脱灰液中のフッ素濃度が100.0ppmでは, エナメル質の最表層部にフッ化カルシウムの形成が認められた. 4. フッ化物溶液に浸漬したエナメル質をフッ素を含む脱灰液で脱灰すると, 脱灰量は著明に減少した. 以上のことから, IFRD法を想定し, エナメル質の脱灰過程にフッ素を作用させると, フッ素は脱灰部に取り込まれて同部を強化し脱灰を抑制するとともに, フッ素濃度100.0ppmではフッ化カルシウムが形成されることが明らかになった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1990-12-25
著者
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