市販コバルトクロム合金の加工条件が理工学的性質ならびに細胞に及ぼす影響について
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概要
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鋳造用コバルトクコム合金の加工条件が理工学的性質と生物学的性質に及ぼす影響について究明することを目的として, 鋳込温度および鋳造後の冷却速度を4とおりに変化させて成形した6種類の市販鋳造用コバルトクロム合金について, 機械的性質の測定, 破断面および金属組織の観察および主要金属元素の溶出量の測定などの理工学的性質の評価を行った。一方で, ヒト子宮頸部由来のHeLa 229細胞を用い, ニュートラルレッド(NR)法および3-(4, 5-dimethyl thiazol-2 yl)-2, 5-diphenyl tetrazolium bromide (MTT)法による細胞生存率, ストレスタンパク質(HSP 70)の観察などの細胞に対する影響を調べた。その結果, メーカー表示の液相点よりも100℃高い鋳込温度で鋳造後に空冷した条件では, 他の条件に比べて伸び以外の機械的性質が大きくなり, 一方, 伸びは250℃高い鋳込温度で鋳造後に水中急冷した条件では, 他の条件に比べて大きくなった。また, 破断面の観察では, 加工条件による破断面の相違はみられなかった。合金間では5種類の合金で脆性破壊が認められたのに対して, ニッケル含有量が50%の合金で延性破壊であった。金属組織ではメーカー表示の液相点よりも100℃高い鋳込温度で鋳造後に空冷した条件では, 他の条件に比べて炭化物が多く析出しており, 連続していた。主要金属元素の溶出量, NR法およびMTT法による細胞生存率とHSP 70量では条件によって特徴を示すような一定の傾向は認められなかった。以上の結果により, 本研究では機械的性質と生物学的性質との相関関係は認められなかった。一方, 鋳込温度および冷却速度を変化させた場合についても, 金属組織の変化による一部の機械的性質への影響が認められたにもかかわらず, 理工学的性質あるいは生物学的性質への顕著な影響はなかった。
- 1997-06-25
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