凍結化学療法における抗癌剤の至適投与時期に関する実験的研究
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概要
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凍結化学療法は局所凍結による循環障害を利用して抗癌剤の組織内濃度を高め持続させる方法である. 著者らは局所凍結により生じる循環障害後におけるPeplomycin (PEP), Cisplatin (CDDP)およびNedaplatinの舌, 頬粘膜および皮膚の各組織内濃度と至適投与条件を検索した. これら抗癌剤の組織内濃度を測定するに先立ち至適投与時期を検索するため, ハムスターの頬嚢を用いて凍結条件と循環動態の観察を行い, ついでウサギ皮膚を用いて局所凍結後の局所循環動態と血管透過性の変化を観察した. ハムスターの頬嚢をー40℃以下に凍結した融解後, 毛細血管の血流は停止し再開しない. 細動脈および細静脈の血流は再開するが, 凍結120分後までに停止する. 動脈および静脈の血流は不規則ながら持続し, 凍結3時間後でも血流は保たれていた. ウサギ皮膚の凍結直前に静脈内投与した色素(Evans blue)は凍結部ならぴに周囲組織に漏出しア2時間以上残留した. 凍結1時間後までに投与した色素は凍結周囲組織に漏出し48時間後まで残留した. 凍結後3時間および12時間に投与した色素は凍結周囲組織にわずかな漏出を認めた. PEPを凍結前に投与すると凍結された組織ならぴにその周囲組織に高い組織内濃度が得られ24〜48時間持続した. しかし, 凍結後に投与すると凍結された組織への薬剤の移行はなく, 周囲組織にわずかな薬剤の移行が認められた. 凍結前に投与したCDDPは凍結および非凍結組織ともに血清に比べ高い組織内濃度が240時間持続した. 凍結組織, 非凍結組織間に濃度差は認められなかった, 凍結前に投与したNedaplatinの凍結組織内濃度は非凍結組織より高く24〜48時間持続した. PEP, CDDPおよびNedaplatinの抗癌剤を併用薬とした凍結化学療法にあたっては凍結直前の投与が効果的であると考えられた.
- 大阪歯科学会の論文
- 1997-03-25
著者
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