トウモロコシ根プロトプラストの 2, 4-D 吸収機構における弱酸仮説の定量的評価
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概要
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トウモロコシ根皮層より酵素的に単離されたプロトプラストの2, 4-D吸収を細胞内外のpHと関連して検討した.2, 4-D吸収は細胞外pH(pH^o)の低下とともに増大した.プロトプラスト外部に対する内部の2, 4-D濃度比(c^i/c^o)はpH^o 7.5, 6.5, 5.5, 4.5において75分以内の培養でおのおの約1.2, 4.0, 10∿12, 30∿40に達した.pH^o 3.5, 2.8においては15分以内にc^i/c^o比がおのおの約90, 150に達したが, 吸収された2, 4-Dはその後プロトプラストの死により速やかに放出された.5, 5-ジメチルオキサゾリジン-2, 4-ジオン分配法による細胞内pH(pH^i)測定の結果, pH^o変化(7.5∿4.5)によるpH^i変化は比較的小さかった(6.9∿6.6).これらのpH^i測定値を用いて各pH^oにおける理論的c^i/c^o比を弱酸仮説に基づいて推定した.pH^o変化に対する理論値の傾向は大まかには実測値の傾向を反映したが, pH^o 6.5および7.5におけるc^i/c^o比実測値はおのおのの理論的最大値を顕著に上回っていた.これらの結果は, プロトプラストによる2, 4-D吸収が単に弱酸仮説のみでは説明されえず, 少なくともpH^o 6.5 および7.5においては能動的な輸送の関与していることを示唆する.
- 日本農薬学会の論文
- 1991-05-20
著者
-
Bayer D
Department Of Botany University Of California
-
河西 史人
Department of Botany, University of California
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BAYER David
Department of Botany, University of California
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Bayer David
Department Of Botany University Of California
-
河西 史人
Department Of Botany University Of California:(present Address)agrochemicals Development And Technic
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