気流中におけるガラス平板上の農薬の蒸発に関する速度論的研究
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概要
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気流中に水平に置いたガラス平板上の農薬斑からの農薬の蒸発という簡単な系に境界層理論を適用することにより, 蒸発の速度式を導いた.この式は農薬量(m, 初期値m_0)に関して一次であり, 消失速度定数(k)は絶対温度(T), 平均物質移動係数(h_D), 農薬の分子量(M)および蒸気圧(P), 単位面積当り農薬付着量初期値(m_0/A_0)の関数となった : -dm/dt=km, k=h_D (A_0/m_0)MP/RT.ガラス平板にfenitrothionを直径1.3cmの円形に塗布し, 20℃の気流中に置き, いくつかの実験条件(風速0.3∿1.3cm/sec, 初期付着量1∿8μg)で消失速度定数を測定したところ, 理論値の実験値に対する比は1.41から2.23の間の値を示した.さらに, 蒸気圧を異にする8種の農薬(fenitrothionを含む)を共栓試験管のガラス栓内側円形平面(直径1.3cm)に塗布し, 30℃, 風速一定で同上の比較をしたところ, 同比は0.41と2.56を除きほぼ1前後と良い一致を示した.このことは, 提案された式が農薬斑の蒸発に対する有用なモデルとなりうることを示している.
- 日本農薬学会の論文
- 1989-11-20