水田における粉剤のトビイロウンカへの付着と殺虫効果
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概要
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トビイロウンカ防除法を改善する目的で, 薬剤感受性と粉剤散布による虫体付着性について室内と圃場で試験した.局所施用法によるNACのLD_<50>値は, 感受性系統では1.9μg/g, 山口個体群では14.6μg/gであった.ベルジャーダスター法で求めた山口個体群に対するNAC, MEP, MAF混合剤のNACとMEPの付着量から求めたLD_<50>値は23.1μg/gで, NAC単独のLD_<50>値は近似的に10.2μg/gと推定し, この値は局所施用法で得られた値にほぼ一致するものと判断した.この粉剤をトビイロウンカの生息する水稲圃場に散布したときのMEP虫体付着量の範囲は0.1∿210μg/gで, その頻度分布は対数正規分布型であった.各種散布法によるその平均値は3.5∿25.3μg/gで, NACの付着量に換算すると2.6∿18.5μg/gであった.この値はNACのLD_<50>値と同等かそれ以下であった.感受性系統および山口個体群の薬量-死亡率曲線と圃場散布での虫体付着量頻度分布から計算すると, 圃場での通常の粉剤散布において, トビイロウンカの死亡率は, 感受性個体群であれば高くなるが, 抵抗性の個体群では著しく低くなるものと推定された.以上の結果は, トビイロウンカの薬剤抵抗性の発達で致死薬量が増加したため, 慣行の粉剤散布による薬剤の虫体付着量では不十分となったことが, 近年トビイロウンカの防除が困難になっている原因の一つであることを裏付けている.
- 日本農薬学会の論文
- 1987-05-20
著者
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