空中散布に伴うフェニトロチオンおよびその分解生成物の自然環境中における挙動
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概要
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奈良県下のフェニトロチオン空中散布を対象として, 1977年以降飛散状況および植生, 土壌ならびに水系におけるフェニトロチオンおよびその分解生成物の挙動について継続調査を行なった.散布当日に木の葉で最高値78.3ppmを検出したが, その後すみやかに減少し, 1週間以内にその99%が消失した.散布地域内に落下したフェニトロチオンは2∿4日で半減し, 消失の主因は光分解と推定された.しかし, 144日後でもなお落下量の2.5%が残留し, 草(主としてシバ), 上層土, 下層土にそれぞれ0.1, 0.01, 0.001ppmを検出した.また分解生成物として, 灌木の葉においてフェニトロオキソンを, フェニトロチオン検出量に対し0.1∿0.3%程度認めたが, 散布1カ月目の大雨後は認められなかった.土壌中では, 微量ながらアミノフェニトロチオンを長期間にわたり検出した.散布地域圏外へのフェニトロチオンの移行を把握するために, 飛散および水系による流出について調査した.飛散量は散布地域から距離が離れるにしたがい著しく減少し, 散布地域から1.5および3.0km地点における検出量は0.001∿0.01μg/m^2/minで人体に影響はないと思われた.水系による流出については, 散布直後に落下薬剤が直接混入するため最高値38ppbを検出したが, その後は急速に希釈減少し, 低濃度で長期間流出を続け, 降雨により一時的にその流出量は増加した.散布49日後にフェニトロチオンを0.001∿0.02ppb, 加水分解物の3-メチル-4-ニトロフェノールを0.001∿0.07ppb検出し, 49日間で落下フェニトロチオン量の0.7%(3-メチル-4-ニトロフェノールを考慮した場合1.0%)が水系によって流出すると推定された.
- 日本農薬学会の論文
- 1981-11-20
著者
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