多結晶氷の圧縮強度に対する静水圧の効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大気圧から 55MPaの種々の静水圧下で3×10^-^4〜2×10^-^2s^-^1の定歪速度による純氷多結晶氷の圧縮実験を行い,降伏応力,または破壊強度と歪速度,結晶粒径の関係および,それらに対する静水圧の効果をしらべた。実験温度は-11±0.5℃,試料は結晶学的に等方的な小粒径多結晶氷と柱状多結晶氷である。小粒径多結晶氷では 5MPa以上の静水圧を与えると全歪速度領域で延性破壊を起こし,降伏応力は歪速度と共に増した。大気圧下では歪速度 1×10^-^2s^-^1における破壊速度は約 6MPaであったが,同じ歪速度で 5MPaの静水圧下の降伏応力はおよそ 20MPaに増大した。しかし,同一の歪速度における降伏応力の値には,静水圧の大小による差はほとんどみられなかった。 柱状多結晶氷では歪速度 2×10^-3s^-1のばあいに,およそ 10MPaの臨界静水圧で延性破壊と脆性破壊であった。破壊強度は10MPa以上の静水圧で,ほぼ一定の値になった。しかし,5MPa以下の静水圧下では,歪速度が増すと強度は減少した。 静水圧はくラックの発生,拡大を抑える働きをするが,破壊強度(降伏応力)の値はかならずしも静水圧に依存しない。強度と静水圧の関係を破壊の微視過程によって説明した。
- 北海道大学の論文
著者
関連論文
- 静水圧の下での多結晶氷のクリープ実験
- 札幌の平地積雪断面測定資料報告 : 昭和50〜51年冬期
- 札幌の平地積雪断面測定資料報告 : 昭和47〜48年および48〜49年冬期
- 札幌の平地積雪断面測定資料報告 : 昭和44〜45年・45〜46年および46〜47年冬期
- 札幌の平地積雪断面測定資料報告 : 昭和60年〜61年冬期
- 札幌の平地積雪断面測定資料報告 : 昭和51〜52年冬期
- 札幌の平地積雪断面測定資料報告 : 昭和52〜53年冬期
- 札幌の平地積雪断面測定資料報告 : 昭和49〜50年冬期
- 3.3.3 雪氷造粒手法並びにその応用手法に関する研究(3.3 経常研究,3. 研究業務)
- 3.3.3 雪氷造粒手法並びにその応用手法に関する研究(3.3 経常研究,3. 研究業務)
- 氷の物理と化学国際シンポジウム (PCI2002)
- 氷が破壊するときの発光現象
- 多結晶氷の圧縮強度に対する静水圧の効果
- 圧力融解点近傍に於ける多結晶氷の変形と静水圧の効果
- 多結晶水の歪と結晶成長
- 札幌の降積雪の電気伝導度
- 核磁気共鳴による氷の表面の動的性質
- Epitaxial Freezing of Supercooled Droplets on Ice Surfaces
- 氷の表面で凍結した水滴の構造と結晶方位
- 凍結過冷却水滴の結晶方位 : 雪・氷
- 氷表面の"偽"液状層(研究報告,第26回凍結及び乾燥研究会特別講演及び研究報告)
- 融点以下での着雪に関する実験的研究
- 湿雪の付着強度
- X線による氷の空像の観察
- 氷河内滲透水の観測
- Autoradiographyで観察した氷の中の不純物の偏析
- 積雪粒子のタッピング圧縮
- X線トポグラフによる霧および平板氷の結晶欠陥の研究
- 霜の結晶のX線トポグラフ
- X線による氷の結晶欠陥の研究 I
- 雪の結晶方位
- 垂直風洞による人工降雪実験