食道癌における手術補助療法のあり方 : 胃癌との対比の立場から (<特集>第21回日消外総会シンポII 進行消化器癌に対する集学的治療)

概要

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近年,食道癌の治療は,手術直接成績の向上と患者管理技術の進歩などにより,著しい進歩をみている.しかし,その遠隔成績をみると,胃癌をはじめとする他の消化器癌に比べいまだ満足すべきものではない.これは,胃癌に比べて食道癌は早期症例が極めて少なく,発見される食道癌の多くは進行癌であり,しかも手術時には,リンパ節郭清が解剖学的に制約を受けている点が最も大きな要因と考えられる.したがって食道癌治療においては,術前後の合併療法が特に重要である.そこでわれわれは,胃癌に対して行ってきた術後長期癌化学療法(Postoperative Long-term Cancer Chemotherapy,以下PLCCと略)なる概念を食道癌にもとり入れてきた.今回,その成績を胃癌の成績と比較検討を加えたところ,食道癌では,PLCCはn(-)例には有効であるが,n(+)例には無効であり,胃癌の場合とは異なっていることが明らかとなった.したがって,食道癌では特殊な合併療法が必要であり,教室では経リンパ節的ブレオマイシン(以下BLM)投与法を考案し,リンパ節再発防止に努めているのでその成績についても述べてみたい.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1983-10-01