食道胃境界部領域のリンパ流に関する実験的研究 : 噴門癌モデルを用いて
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概要
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噴門癌モデルを用い,下縦隔,腹部大動脈周囲リンパ節への転移経路,および横隔膜へのリンパ行性進展の可能性について検討した.経内視鏡的にVX_2腫瘍を家兎の下部食道(E>C),食道胃接合部(C≧E),胃上部(C)の各領域に移植し噴門癌モデルを作成,微粒子活性炭(CH_<44>)を用いリンパ流を観察した.腹部傍食道を上行する上方向へのリンパ流は,C≧E群15例中6例(40%),E>C群10例中6例(60%)にみられ,C群および対照群では認めなかった.腹部大動脈周囲に向かう下方向へのリンパ流は,左胃動脈経路45例中36例(80%),下横隔動脈経路45例中12例(27%)にみられた.横隔膜へ向かう側方向へのリンパ流はC≧E群,E>C群,25例中3例(12%)で横隔膜漿膜下にみられた.すなわち上方向,側方向へのリンパ流は癌腫の進行に伴う側副経路として考えられ,また食道胃接合部領域と大動脈周囲リンパ節とはリンパの流れに密接な関係があることが示唆された.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1991-03-01
著者
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