胃癌における悪性腫瘍の家族内集積とp53蛋白発現との関連に関する検討
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概要
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胃癌における悪性腫瘍の家族内集積とp53蛋白発現との関連を免疫組織学的に検討した.1989年〜1993年までに当科で切除され,悪性腫瘍の家族歴を確認しえた初発胃癌34例を対象とした.第1度近親者に発端者以外に2人以上の悪性腫瘍罹患者を認めるものは22例(6.4%)で,家族に発生した悪性腫瘍は胃癌が圧倒的に多かった.家族に胃癌罹患者を2人以上持つ10例をA群,胃癌罹患者1人以下の12例をB群とし,第1度近親者に悪性腫瘍の家族歴を全く認めない対照群と比較すると,臨床病理学的因子に各群間の差はなかった.胃癌組織のパラフィン包埋切片を用い,p53蛋白,PCNAについて免疫組織化学染色を行うと,PCNA標識率では3群間に差はみられなかったが,p53蛋白陽性例はA群で80%,B群で75%と対照群の38%に比べ有意に高頻度であった(p<0.01).胃癌組織のp53蛋白の検索は,家族における悪性腫瘍,とくに胃癌のハイリスク群を選別する上で意義あるものと考えられた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1996-08-01
著者
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