微小径ドリル加工の切残しに及ぼす被削材組織の影響
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概要
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ドリル加工ではドリル径が細くなるほど刃先形状が悪くなるので切残しが多くなるはずであるが, 被削材として0.02%C鋼を用いて穴あけをした結果, ドリル直径が0.2mmより細くなると細いドリルほど切残しが減少した。本研究ではこの現象と被削材組織の関係を知るために種々な被削材に種々な径のドリルで穴あけをした。その結果この現象は結晶粒の比較的大きな被削材のみにみられることがわかった。そして他の被削材すなわち単結晶材および微結晶粒材における挙動と比較して考えると, この現象は「結晶粒が比較的大きい被削材を微小径ドリルで穴あけする場合結晶粒の大きさがドリル径の大きさに近づき, 被加工部では結晶粒界が少なく塑性変形が容易になる一方, 被加工部外の適当な近傍に結晶粒界が存在するので, それに拘束されて塑性変形はドリル外周から外部へ拡大せず, そこに応力が集中してその部分で塑性分離しやすくなるために切残しが少なくなる」と考えればよく説明できる。
- 公益社団法人精密工学会の論文
- 1980-10-05
著者
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稲垣 耕司
東北学院大学工学部
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菅原 章
東北大学化学計測研究所附属特殊精密工作研究施設
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稲垣 耕司
東北大学化学計測研究所附属特殊精密工作研究施設
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菅原 章
東北大学科学計測研究所附属特殊精密工作研究施設
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菅原 章
東北大科学計測研付属特殊精密工作研施設
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