月経サイクル中に自己報告されたCrying(流涙現象)
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概要
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涙を流すことは普通, 苦痛や不快と関連している. また, 女性においては, マタニティーブルーズや更年期障害といった女性ホルモンが大きく変動することに関連したエピソードが, crying(流涙現象)の頻度変化と関連しているようである. 本研究は月経サイクル中におけるcryingの変動に焦点を当てた. 気分の状態の報告よりもcryingという行動そのものが悲嘆の信頼できる指標として使用できると考えられるからである. 研究1:33カ国の女性(n=2,447)を対象に, 遡及的異文化研究を報告した. 月経のサイクルを分け(月経前5〜1日, 月経日1〜5日, 月経後1〜5日, 排卵の段階, 月経前14〜10日), cryingの傾向がサイクルの段階によって変化するかを尋ねた. その結果, 41.8%(n=1,022)はcrying傾向が月経サイクルに関連していると報告した. ピアソンのX^2検定の結果, 経口避妊薬を使用している女性(55%)は使用していない女性(45%)より, さらにそのような関連性を報告した(p<0.001). 一方で結果には異文化間で大きな違いがみられた. さらに, 月経サイクルとcryingについて分散分析を行った結果, 月経前の段階に, より涙を流すことが示された(p<0.001). しかし, それは国による有意な差があり(p<0.001), 生物学的な要素を否定する形となるが, 西洋の国出身ではない女性はcryingと月経サイクルの関連を報告する傾向が少ないことがわかった. このデータから, 特定はできないが, メディアからの情報を受ける西洋の国では月経前に気分のむらや短気が起こるという意見が一般的であり, 筆者らはcryingの傾向と月経サイクルの関連において社会文化的な要素の役割を強調している. 研究2:次に連続した2回の月経サイクルでオランダの学生(n=82)にcryingと気分の日記をつけてもらった. 分散分析の結果, 怒りっぽい, 情緒的状態, 緊張, イライラ, リラックスしている, 落ち着かないという気分の変化とcryingの関連が有意であった(p<0.05). 涙を流した591のエピソード報告の分析では, 経口避妊薬を使用していない者が肯定的な経験, もしくは自己能力の不十分さのいずれかで涙を流すことが多く, 経口避妊薬を使用していた者はcryingの理由として身体的な状態を挙げた. Crying傾向の増加はホルモンレベル変化の結果とするならば, 経口避妊薬を使用している女性は, 避妊薬により性ホルモンの変動が抑えられるため, 気分やcryingの変化が少ないはずだが, 経口避妊薬使用者グループは全月経サイクルを通してより涙を流す傾向があった. 結論:Cryingの変動に女性ホルモンの役割が関わっているということは疑わしい. むしろ, 自己報告されたcryingの変動は月経サイクル, 気分とcryingにおける今までの学説に影響されている可能性が高い.
- 2005-01-01
論文 | ランダム
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