Stimulation of β_1 Integrin Dowm- Regulates ICAM- 1 Expression and ICAM- 1 - Dependent adhesion of Lung Cancer Cells through Focal Adhesion Kinase

概要

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肺癌の急増は世界的な傾向であり、日本でも胃癌とならんで死亡率のトップである。肺癌死の原因は、その大半が血行性転移によるものであり、これを如何に制御できるかが肺癌の治療成績向上には不可欠である。近年、癌細胞の血行性転移・浸潤の過程が解析され細胞外基質との接着というstepにおいて、この受容体であるβ1 integrin等接着分子を介する細胞内への情報伝達が様々な細胞機能制御を担っていることが明らかになってきた。しかし、組織に定着した癌細胞はどのようにしてCTL(細胞傷害性T細胞)やNK細胞等effector細胞の細胞傷害から回避し増殖していくのか、そのメカニズムは解明されていない。今回、肺癌細胞を用いてβ1 integrinを介する情報伝達系を、細胞と細胞、または細胞外基質との接着の観点から解析し以下の結果を得た。1)肺癌細胞に発現するβ1 integrinを特異抗体、細胞外基質で架橋化すると、元来細胞表面上に高発現するICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)の発現が24時間以内に減弱する事をFACScanで認めた。2)肺癌細胞に発現したICAM-1の少なくとも一部はβ1 integrin刺激によって培養上清中に可溶型ICAM-1として放出される事をELISA法で認めた。3)β1 integrin刺激によるICAM-1発現の減弱は、チロシンリン酸化阻害薬の添加、及び、肺癌細胞に予めFAK(Focal Adhesion Kinase)のdominant negative変異体遺伝子をLipofection法にて遺伝子導入することによって阻害された。4)肺癌細胞とT細胞とのLFA-1/ICAM-1を介する接着は、肺癌細胞をβ1 integrin刺激することによって抑制され、さらに、肺癌細胞を予めチロシンリン酸化阻害薬やFAKのdominant negative変異体遺伝子で処理することによって、この抑制は解除された。5)肺癌細胞に対するLFA-1/ICAM-1依存性の自己肺癌特異的CTL細胞傷害活性は、肺癌細胞をβ1 integrin刺激することによって抑制された。生体内では、癌細胞は転移・浸潤過程で常に細胞外基質に取り囲まれており、β1 integrinを介して癌細胞内へ情報伝達が入り続けていることが予想される。以上より、肺癌細胞はβ1 integrinを受容体として細胞外基質と常時接着しその結果、β1 integrin-FAK-チロシンリン酸化の細胞内情報伝達を介してICAM-1の発現が抑制され、LFA-1/ICAM-1依存性のCTLとの接着やCTLによる細胞傷害から回避しているものと考えられ、この情報伝達系を遮断することにより生体内における有効なCTLによる細胞傷害を誘導できる可能性が示唆された。
産業医科大学学会の論文
2002-03-01

Stimulation of β_1 Integrin Dowm- Regulates ICAM- 1 Expression and ICAM- 1 - Dependent adhesion of Lung Cancer Cells through Focal Adhesion Kinase

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