胃底腺における phorbol ester, cyclic AMP および抗潰瘍剤等のホスファチジルコリン合成に及ぼす効果
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概要
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モルモット単離胃腺における[3^H]cholineのホスファチジルコリン(PC)への取込を検討することによりPC合成に対する各種薬剤jの効果を明らかにした。Cキナーゼ活性化作用を有するフォルボールエステルである12-0-tetradecanoyl phorbol 13-acetate(TPA)や脂肪酸であるパルミチン酸,胃粘膜防御因子増強剤teprenoneは用量および時間依存性にPC合成を刺激した。これら薬剤はphosphorylcholine以降の合成過程を評価しうるpulse chase studyにおいても同様の効果を示したことから,律速酵素Cytidylyltransferase(CTF)の活性化を介してPC合成を促進するものと思われた。一方各種抗癌剤,H_2受容体阻害剤(H_2RA)は用量および時間依存性にPC合成を抑制し,pulse chase studyでは各種抗癌剤はPC合成を抑制したが, H_2RAは抑制作用を認めなかった。さらにteprenoneは,抗癌剤によるPC合成抑制を解除した。一方胃酸分泌刺激に中心的役割を演じるcyclicAMPはPC合成に影響を及ぼさなかった。これらの結果から,モルモット単離胃腺において 1) PC合成はCキナーゼ系の活性化を介し促進される可能性があり, 2)抗潰瘍剤H_2RAはcholine transportを介し,抗癌剤は少なくともCTF活性の抑制を介しPC合成に抑制的に作用し, 3)抗潰瘍剤teprenoneは少なくともCTFの活性化を介しPC合成を促進し,抗癌剤によるPC合成の抑制を解除することが示唆された。
- 神戸大学の論文
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