ブロツキーの詩における<言語>
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概要
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ヨシフ・ブロツキーにとって,<言語>は詩人としての自らの営為のみならず, 亡命者としての彼の人生においても特別な意味を持っている。そもそも詩とは言語を限りなく彫琢しそれを構築する芸術であるがゆえに, 詩人にとって言語が何よりも尊い存在であることは改めて言い立てるまでもない。それにもかかわらず敢えてここでブロツキーの<言語>を論じようとするのは, <言語>に関する認識とその詩的表現によって彼独自の世界観が構築され, それによってブロツキーが他の詩人たちと大きく一線を画しているからである。ブロツキーの<言語>に対する態度は彼の作品に様々なレベルで多層的に織り込まれているが, 本稿では, 文字, 音, 単語, 文といった言語の諸要素をモチーフとした個々の表現に焦点を合わせ, それらがいかに詩的形象とされているかを検討し, それによってブロツキーの言語観, さらには彼の世界観の根源に脈うっている詩と自由の問題に迫りたい。
- 日本ロシア文学会の論文
- 1999-10-01
日本ロシア文学会 | 論文
- 金田一真澄, 『ロシア語時制論 : 歴史的現在とその周辺』, 三省堂, 1994, xiv+598p.
- 『岩波ロシア語辞典』, 和久利誓一, 飯田規和, 新田実編, 岩波書店, 1992年6月, xx+2256+37
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