統計ソフトウェア"S"における自己相関関数の計算アルゴリズム
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概要
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ワークステーションの普及とともに,データ解析分野では統計ソフトウェア"S"が広範に利用されている(永井,1991).本論文では,これから"S"を利用しようとする解析者,あるいはまだ"S"に十分に習熟していない利用者に対し,"S"で時系列データの自己相関関数を計算する際の計算所要時間の短縮に役だつ計算アルゴリズムについて,簡単ではあるが有用な方式を提示する. 統計ソフトウェア"S"で時系列データの自己相関関数を計算するには,少なくとも3種の異なる計算アルゴリズムがある.それらのうち,BASICやFORTRANに習熟したデータ解析者にとって最も標準的と思われるのは,おそらくforループによる反復計算である.さらに,"S"では,この他にも簡単な組み込み関数sum( )を用いたベクトルの内積演算による方法,行列形式の積演算%*%で内積計算を行う方法がある.長さがせいぜい100前後の時系列データの自己相関関数を計算するときでさえ,その計算所要時間の間に実に大きな差の生じることが経験的に知られている.本報告では,秒単位の時間しか出力できないstamp( )関数を用いて,実際的な解析環境のもとて計算所要時間を計測し,その数値的な比較を試みた.その結果,標準的と見られるforループによる計算方式に比し,ベクトルの内積演算アルゴリズムを用いる方式が計算所要時間をはるかに短縮することが示された.本論文中の数値例における計算所要時間はCPU時間ではなく,相当に粗いものである.しかし,その計算所要時間の差異があまりにも大きいので,有利なアルゴリズムの選択には十分な結果であると思われる.
- 日本計算機統計学会の論文
- 1992-05-16
著者
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- タイトル無し