骨粗鬆症における脊椎圧迫骨折と骨塩量減少に関する研究
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概要
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骨粗鬆症における骨折の発生と骨塩量減少の関係を明らかにする目的で,まず健常者における腰椎骨塩量の加齢変化を調べ,次いで脊椎圧迫骨折患者と大腿骨頚部骨折患者の腰椎骨塩量を計測し,これらを検討することで以下の結果を得た。1.健常者における腰椎骨塩量の加齢的変化は,男性では加齢にともなう骨塩量の減少の程度は小さく,高齢に至るまで骨塩量はよく維持される。一方,女性では,30才代で骨塩量は最高値を示し,40才代まではそのまま推移するが,閉経期前後には急激な骨塩量の減少が見られた。 2. 脊椎圧迫骨折を認めた患者の腰椎骨塩量は,周年代対照例に比し,さらに約18%の骨塩量の減少を見た。脊椎圧迫骨折の発生率と骨塩量の減少とは極めて高い相関性を示した。また,骨折椎体数の増加と圧潰骨折の存在は,骨粗鬆症のより進行した状態であることが示された。骨折の危険域の規定は骨粗鬆症の診断のよい指標となり,早期の骨折予防に役に立っと思われる。 3.大腿骨頚部骨折を認めた患者の腰椎骨塩量は,同年代対照例とは有意の差は得られず,大腿骨頚部骨折の発生率と腰椎骨塩量との相関性も低い。このことは,同じ骨粗鬆症でも部位により骨の反応が異なっていることを示しており,骨折の危険域の評価には選択的な骨塩量測定の必要性が強く示唆された。
- 神戸大学の論文