成人髄液循環障害における脳血液循環動態の検討
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概要
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成人髄液循環障害例に対してN-isoprophylp-[123I] iodoamphetamineを用いたSinglePhoton Emission Computed Tomography (SPECT) を使用し, Kuhlらの方法に従い持続動脈採血による大脳血流量(rCBF),小脳血流量(rCeBF) 測定を短絡管術前後に行ない,rCBF,rCeBFの変化,関係を検討するとともに臨床症状との関係を検討した。正常volunteerと比較して,rCBF,rCeBFとも有意に低下しており,特に前頭葉,fronthl watershedareaの低下が著しかった。短絡管術後のrCBF,rCeBF増加率をみると右大脳半球の各部位のrCBF増加率は低かった。しかしrCeBF増加率は逆に左小脳半球は低かった。術前存在したcrossed cerebellar diaschisis (CCD)が,短絡管術後改善,消失したものが5例あった。全例テント上に何等かの脳損傷の既往があり,水頭症が進行するにつれCCDが顕著となっており水頭症によるinterstitial edemaの進展がCCDを発生,増強させる要因になっているのではないかと考えられた。以上のことより髄液循環障害例でもCCD類似のtranstentrial remote effectが存在し,テント上の病態がテント下にも影響していることが判明した。
- 神戸大学の論文