長期ストレプトゾトシン糖尿病ラットのトリグリセライドリッチリポ蛋白の粒子サイズと組成及びトリグリセライド代謝回転の観察
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概要
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ラットにおける長期間(4〜6ヶ月)のインスリン欠乏のトリグリセライド(Tg)-richリポ蛋白の粒子サイズ及び組成とその代謝回転に与える影響をTriton-WR 1339を用いて観察した。Wistar系雄ラットにストレプトゾトシン(STZ)40mg/kgを静注して糖尿病を作製した後, 2週間目と4及び6ヶ月目に新たに分泌されたTg-richリポ蛋白の粒子サイズの分布,及び脂質組成とTg分泌率(TgSR)を測定した。2週間目の糖尿病ラットは著明な高血糖と低インスリン血症を示した。非糖尿病コントロールラットと比べてTgSRは有意に低値であるのにもかかわらず,糖尿病ラットの血中Tg値は正常であった。即ち血中Tgのfractional catabolic rate (FCR) は2週間の糖尿病ラットでは低値を示した。長期(4〜6ヶ月)糖尿病ラットではTgSRが抑制されたが血中Tgは明らかに非糖尿コントロールラットより高値であった。従って血中TgのFCRは更に低下した。長期糖尿病ラットのTriton注射後採取したTg-richリポ蛋白粒子はコントロールラットと較べて,その粒子サイズは有意に増大し, コレステロール(chol)-richでTg-poorであった。これらのサイズと組成変化は既に2週間の糖尿病ラットで認められたが,その組成異常の程度は長期糖尿病ラットと較べると小さかった。これらの異常(Tgのturnoverとリポ蛋白の粒子サイズ及び脂質組成)は2週間のウルトラレンテ(R)インスリンによる治療(6U/日)を行う事によりほとんど正常化した。この様に,インスリン欠乏の期間がラットの血中からのTg除去能の重要な決定要素であることがわかった。さらに長期インスリン欠乏によるTg-richリポ蛋白粒子のサイズと脂質組成の変化はこの血中からの除去障害の原因のひとつになるものと考えられた。
- 神戸大学の論文