慢性分裂病患者死後脳のヒスタミンH_1およびムスカリン性アセチルコリン受容体
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概要
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長期間にわたり抗精神病薬または同時に中枢性抗コリン薬を服用していた慢性分裂病患者(14例)の死後脳前頭葉皮質において受容体結合実験を行い,3^H-mepyramineにより標識されるヒスタミンH_1受容体と3^H-QNBにより標識されるムスカリン性アセチルコリン受容体の変化の有無を検討した。3^H-mepyramine結合は分裂病群で対照群に比し約40%の有意な減少を示し,3^H-QNB結合には差がなかった。3^H-mepyramine結合を対照群と陰性症状を中核症状とする解体型分裂病群または陽性症状を中核症状とする妄想型分裂病群との問で比較したところ,解体型でのみ有意な低下が認められた。以上の結果から,分裂病解体型患者死後脳前頭葉皮質におけるH_1受容体の選択的減少は,抗精神病薬の長期服用の影響ではなく,陰性症状などの解体型に特徴的な病態に関与していることが示唆された。