2種類の呼が加わるある即時系モデルの近似解析
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概要
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本論文は、次の待ち行列モデルに対する、効率の良いかつ精度のすぐれている近似解析法を述べている。モデルは、航空会社の切符予約システムに関して提起されたものであり、佐藤・森(9)により、既に厳密解析が報告されている。2種類の客(呼)が、まずそれぞれの専用窓口にポアソン到着する。専用窓口の受付係(サーバ)の数を、それぞれS_1、S_2とする。対応する専用窓口もすべてサービス中ならば、共用窓ロへあふれる。共用窓口の受付係の数をSとする。共用窓口もすべてサービス中ならば、その客は損失(呼損)となる。客のサービス時間は、客の種類により、また、窓口の種類により、それぞれ異なる平均の指数分布に従う。このモデルに対し、佐藤・森(9)は、ランピング法を適用して効率的な数値解法を提案している。しかし、サーバ数が多くなると、所要計算時間が膨大なものとなる。そこで、本論文は、若干の近似を導入して、所要計算時間の大幅な短縮を図る。すなわち、専用窓口からの客のあふれ過程を、周知の断続ポアソン過程(以後IPPと略す)で置換し、専用窓口と共用窓口の系の動きを分離して、それぞれを解析する。専用窓口での呼損率(あふれ率)は、アーランの損失式により求められる。共用窓口のモデルは、2種類のIPP入力の加わる、平均サービス時間の異なる即時系モデルとなる。専用窓口でのあふれ率と、共用窓口での呼種別の呼損率より、全体の系での呼種別の呼損率が得られる。状態空間の大きさは、厳密解法では、(S_1+1)(S_2+1)(S+1)(S+2)/2となる。一方、本論文の近似解法では、最も手数の必要な共用窓口モデルの状態空間の大きさは、2(S+1)(S+2)であり、計算時間の大幅な短縮が可能となる。精度については、厳密計算と比較し、呼種別の呼損率に関して、少数点以下4桁まで正しいことを数値例により確認した。なお、共用窓口のモデルに対する解析は、窓ロへの片方の入力がポアソン過程に従う場合も含んでいる。
- 社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文
著者
関連論文
- Leonard Kleinrock 著, "Queueing Systems, Volume I : Theory Volume II : Computer Applications", John Wiley & Sons社, B5変形判, Vol.I:417p, \6,480, 1975, Vol.II:548p, \7,150, 1976
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