集団到着GI/G/m待ち行列系に対する拡散近似
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概要
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本論文では集団到着複数窓口待ち行列系GI^x/G/mを拡散近似の手法を用いて解析する。GI^x/G/m系は現実の問題への応用の観点からも興味あるモデルであるが、厳密に解析することは非常に困難である。分布を限定したものでは、NeutsやBabaがフェイズ分布を用いてGI^x/PH/m系やM^x/PH/m系をアルゴリズミックにそれぞれ解いているが、実際に解を求めるには行列の収束演算を含むので非常にほう大な計算を要する。そこである種の近似解の必要性が生じてくる。本論文では拡散近似の手法を用いて近似解を導出する。時刻tにおける系内客数をQ(t)で表わし、それを近似する拡散過程をX(t)で表わす。Q(t)は負値をとらないのでX(t)の原点に境界をおかねばならないが、普通その境界として反射壁境界と基本復帰境界とがよく用いられる。反射壁境界は集団到着の待ち行列系には適さない反面、基本復帰境界は本質的にはポアソン到着の待ち行列系に限定されていた。Gelenbeはそれを拡張し、境界にとどまる時間がCoxian分布に従う拡散過程を研究した。それを応用して本論文ではGI^x/G/m系の系内客数の分布の近似式を導出する。それを用いて平均系内客数の近似式が導かれる。さらに拡散過程を少し変えることにより、別の近似式を与える。最後にいくつかの例で数値的にこれらの近似式の精度を調べる。
- 社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文