量産品における地域別販売力評価方式とその適用
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概要
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本論文は、企業の販売計画・戦略策定の基礎となる製品の市場における販売面から見た力(ここでは「地域別販売力」と呼ぶ)の評価方式の開発を目的としたものであり、その考え方と適用事例の紹介である。本方式は、不特定多数の顧客を持つ量産品を適用対象とし、ある企業の地域別販売力を、ある特定時点での市場での支配力を示す「地域別市場占有力」と、2時点間の市場占有力の時間的変化を示す「地域別販売成長力」との両面から定義している。地域別市場占有力の推定にあたっては、アンケート調査等で実際の市場を直接調査する方法ではな=く、社内で入手できる基礎的データと官公庁によって公表される一般的データを使用している。使用するデータは、(1)当該企業の地域別売上高、(2)その製品の地域別市場規模を示すと考えられる市場指数が用いられているが、当該企業。当該製品の全国シェアが想定できるかどうかによって、地域別販売力の推定方法を変えている。市場指数を用いて市場での自社の力を評価する方法は、市場指数と自社の地域別売上高とを単純に比較するという形で、現在も多くの企業で用いられているが、本論文では、その考え方の構造を分析し、これにシェアと時系列の概念を導入して企業における実用性の拡大を図っている。本方式は、これ迄に幾つもの商品に適用されているが、評価手順が四則演算を中心としたアルゴリズムであるため理解し易いことや、評価のための費用があまりかからないことなどから、実務への定着化が進んでいる。また、本方式の各種計算は、プログラム化されている。本評価方式の適用により、これまで観念的に策定されていた販売計画・戦略へ定量的概念が導入されるとともに、策定作業の合理化を図ることができる。
- 社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文