状態監視保全に関する一考察
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概要
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本論文は、従来の時間計画保全に対して、近年導入された状態監視保全(monitored maintenance)に関し、論じたものである。今、ある装置を考える。この装置(以下"本体"と呼ぶ)の稼働状態は外部からは直接把握することは出来ず、"モニター"と呼ばれる状態監視装置からの情報に基づき本体の状態を推測する。本体は、正常叉は故障の2状態をとり、その遷移は故障率λ(t)をもつ寿命分布に従うものとする。一方、モニターーは(l+1)個の状態をとり、その状態は、本体の状態の条件付確率、即ち、次の確率行列によって規定されるものとする、[numerical formula]、ただし、q_<ij>は本体が状態i(0(正常)、1(故障))にあるときにモニ夕が状態jをとる確率である。本体の状態遷移確率が本体の稼働時間t∈Tに独立な場合は、Partially Observable Markov Decision Processesとして有限期間問題、ε-optimal 解等が研究されている。しかし、稼働時間を考慮し、無限期間問題を具体的・実用的な形で取扱ったものはみられない。そこで本論文では上記の点を考慮しモデル化を行なった。なお、アクションとして{keep、replace}、目的函数として総期待費用を考えた。本論文のモデルにおいては、べ一ズの定理による事後確率Gと本体の稼働時間丁の直積集合G・T≡Φに過去の履歴が縮約され、このΦを用いて、最適保全方式に従った場合の総期待費用に関する関数方程式が得られる。この式に基づき、次の条件が成り立つとき、最適保全方式は、状態空間Φが高々2分割されるコントロールリミットポリシーによって与えられることが示される。条件(a)q_<0i>/q_<1i>≧q_<0j>/q_<1j>(0≦i≦j≦………)、(b)本体の故障率λ(t)がIFR。なお、条件(a)は、モニターの状態の並べ換えにより満たされ、条件(b)のλ(t)に関する条件のみが必要となる。最後に本体の寿命がワイブル分布に従う場合の計算例が与えられている。
- 社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文
- 1979-03-00
著者
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