高濃度酸素及びデキサメサゾンのラット肺サーファクタントに及ぼす影響
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概要
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我々は,幼若ラットを用いて高濃度酸素負荷及びデキサメサゾン投与が肺サーファクタント代謝に及ぼす影響を検討した。生後4週齢のラットを,1週間の高濃度酸素負荷を行った群と大気下で飼育した群に分け,さらに各群をデキサメサゾン(0.50mg/kg)投与群と非投与群に分けた。各群における目輔目織中のsurfactant-associated protein A (SP-A)のmRNA量と,肺組織中及び肺胞洗浄液中のdisaturated phosphatidylcholine (DSPC)量,SP-A量を測定し比較検討した。SP-AのmRNA量は高濃度酸素負荷により対照群に比し1.3倍とわずかに増加した。一方,デキサメサゾン投与によってSP-AのmRNA量は,対照群に比し1.5倍と酸素負荷と同程度に増加した。肺胞洗浄液においては,高濃度酸素負荷によりDSPC量とSP-A量はそれぞれ4倍,6倍の増加したが,デキサメサゾン投与では両者とも2倍にしか増加しなかった。肺組織中のDSPC量とSP-A量は高濃度酸素負荷によりそれぞれ3倍,2倍に増加したが,デキサメサゾン投与ではそれらは増加しなかった。酸素負荷群では,デキサメサゾン投与はSP-AのmRNA量,肺組織中及び肺胞洗浄液中のDSPC量,SP-A量に影響を及ぼさなかった。これらの結果より,高濃度酸素負荷での8P-Aの増加にはSP-Aの産生亢進以外の要因も関与していること,デキサメサゾンは高濃度酸素負荷での肺サーファクタント増加に影響を及ぼさないことが示唆された。