玉葱の雄性不稔に関する研究 : I. 雄性不稔個体の葯の細胞学的研究

概要

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1. 1953年に泉州黄甲高系の中から2個体の完全雄性不稔個体を見出し, その葯の細胞学的研究を行つた。2. 雄性不稔個体の葯は4分子期の前までは正常個体の葯と殆んど差異は認められなかつた。3. 4分子期の終り頃から正常個体では葯壁内面層の崩壊が始まり, 小胞子期には完全に崩壊するが, 雄性不稔個体では崩壊せず, 逆に異常発達をして小胞子期まで存続する。4. 一方雄性不稔個体の小胞子は異常発達をした葯壁内面層に囲まれ, 次第に崩壊して行く。5. 雄性不稔個体の葯壁内面層はその発達の極に達すると先ず核質が崩壊し始め, 次いで細胞膜が破れて原形質が葯胞に流出し, 崩壊しつゝもある小胞子と溶合して壊疽状物となる。6. 雄性不稔個体の葯壁内面層のこの様な異常発達と崩壊の過程はTop-onionにおいても観察された。7. 葯壁内面層のこの様な異常発達については明確な説明は与えられていないが, 著者の観察によれば葯壁内面層の崩壊の時機の遅れることが小胞子の崩壊を促す様に思われる。
神戸大学の論文