東南極みずほ高原における接地気層の構造についての予備的研究(第1回南極気水圏シンポジウム)
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概要
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1972年6月から12月までの期間にみずほ基地で行った風と気温の鉛直分布および乱流の観測結果に基づき,東南極のみずほ高原における接地気層の構造について予備的研究を行った.その結果,次のことがわかった.1)みずほ高原におけるこの期間の接地気層の安定度の特徴は,弱安定状態の出現率が高く,不安定状態の出現率が低いことといえる.2)粗度長の平均値は,0.24cmで,昭和基地と南極点での値より1桁大きな値を示した.これは,みずほ高原でのカタバティック風の風食作用によって形成される高いサストルキの存在によるものと思われる.雪面付近での風速の鉛直分布は,リチャードソン数が約0.1以下のとき,「対数+直線法則」に従った.3)風と気温の変動のパワースペクトル,および顕熱フラックスのコスペクトルの分布は,これまでに多くの研究者によって報告されている結果とほぼ同じであった.運動量のコスペクトル解析から,いくつかの周波数帯でプラス符号をもつ運動量輸送が行われていることが示された.カタバティック風のなかの鉛直風速変動の確率密度分布は,平均値よりも小さい側にかたよっていると推定される.4)内部彼の波動に伴って現われたと思われる,気温の周期的な変動が冬期間に観測された.
- 国立極地研究所の論文