CMC・ポストモダニズム・教育 : 情報化時代のコミュニケーションと学校教育 (<特集>価値多元化社会における教育の目的)
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概要
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工業社会から情報社会への変化は、古い学校文化とインターネット文化のような新しい情報文化との間に摩擦や葛藤をもたらす。コンピュータ教育やインターネット教育を研究し、学校への情報文化の影響を明らかにするためには、「学校文化はモダン」であり、「情報文化はポストモダン」であり、そしてこれらは互いに葛藤するという観点を確立させることが必要である。それゆえに、私はコンピュータによるコミュニケーション(CMC)文化とコミュニケーション理論、とりわけハバーマスのコミュニケーション行為の理論とリオタールのハバーマスの考え方への批判についての議論に焦点を当てる。CMCは、個人のアイデンティティの重みがなくなり、流れのカや状況によって移動する圧力を受けやすいというポストモダン的な特性を持っている。カント的な主体モデルはCMCの中では絶え間なく脱構築されているのである。ここではCMCの分析をするためにハバーマスの理論を取り上げる。彼によると、コミュニケーション的行為は合意によって行われるのだが、この合意は暗黙のディスコースの前提、すなわち理解可能性、規範における正当性、表現された意図に対する誠実性、そして認識していることがらの真理性から生まれる。チャールズ・エスは、この理論をCMCに当てはめ、ディスコースの倫理は、批判的ディスコースに関わり、他者の視点に立つ能力を道徳的関与、そして民主的なディスコース共同体の多元性の中で他者との共有性を追求することを求めると主張する。リオタールはハバーマスの理論を強制されない合意という究極的目的を土台にした普遍的言語というモダニティの夢のプロジェクトを表現したものと見なした。彼はハバーマスの理論をメタ物語の、すなわちモダニティを批判する文脈の中に置いた。マイケル・ピーターは差異と不合意はまさに言語の中心にある原理であり、それゆえに、違いを認識し、それを尊重することを学ぶべきであると述べる。そして彼は次のように述べる。再構築された公共圏の中の普遍的自由という彼の望みは、再活性化されたブルジョアの印刷文化のコミュニケーション行為実践を元にするものであり、この印刷文化はかつてはひろく白人の、ヘテロセクシャルの男性のものであった。他方、ヨシュア・メロウィッツはマクルーハンの「ミディアム理論」を用いながら、コミュニケーション技術史としての教育史を描いている。彼によると、ポストモダン電子文化、学校の中では古い構造は時代遅れとなり、「開かれた」教室へと向かう動きがある。そして、伝統的な工場に似た学校から口承時代にムラの人々が集まる丸い広場に似たものへと向かう。つまり、一つの目標を持つ「教授」からより「協同的学習」へと向かう動きがある。私は、メロウィッツのポストモダン学校モデルは、ユートピアや夢などではなく、創造力を中核にした新しい能力主義秩序の反映であると考える。しかし、インターネット文化のようなポストモダン文化は新しい秩序にとって危険なものも含んでいる。もし、われわれが教育研究にポストモダニティの概念を導入するならば、教育の理念は教育の目的や体系の価値を構築するだけではなく、脱構築し、あるいは否定するという概念も含むことを理解する必要があるだろう。
- 1997-09-30
著者
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