加熱によるにんじんペクチンの変化
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概要
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にんじんと蒸し器、圧力なべ、電子レンジで加熱し、加熱時間による硬さ、ペクチン、中性糖の変動を検討した。1)加熱時間が長くなるに従って、にんじんの破断力は測定値が減少した。しかし加熱法により軟化の度合いは異なっていた。圧力なべ加熱が蒸し器加熱よりも軟化し、電子レンジ加熱は他の加熱法にくらべ軟化しにくく加熱過剰になると硬化する傾向を示した。2)水可溶性ペクチン量は、加熱することにより増加したが、増加の程度は加熱法により異なっていた。3)加熱したにんじんの破断力とペクチンの水溶化率との間に負の相関があった。4)水可溶性ペクチンのゲル〓過による分子量分布のパターンを加熱法別に比較すると、蒸し器加熱では中間分子区分が多く、加熱によりペクチンはやや分解された。圧力なべ加熱では低分子よりの中間分子区分が多く低分子化の傾向が強かった。電子レンジ加熱では、ペクチンは高分子区分と低分子区分のみであった。加熱時間が長くなるに従って高分子区分が増加し、低分子区分は殆んど変わらず、ペクチンは分解されなかった。5)蒸し器、圧力なべ加熱の高分子区分の中性糖の種類ではガラクトース、アラビノースが主体でキシロース、ラムノースも含まれていた。電子レンジ加熱の高分子区分ではアラビノースが主体でガラクトースも含まれていたが、ラムノース、キシロースは殆んど検出されなかった。中間分子区分の中性糖はどの加熱法においてもアラビノースが大部分であった。低分子区分では、加熱法によらずグルコースのみが検出された。
- 日本調理科学会の論文
- 1989-12-20
著者
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