原子吸光定量のための塩酸抽出条件の検討
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概要
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原子吸光・フレーム法による野菜中の無機質8元素(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅、マンガン、鉄、亜鉛)の含有量測定のため、無機質含有量既知の標準物質(NBS-SRM 1573 Tomato Leaves)を試料として、塩基抽出のための塩酸濃度(1%,2%,5%,10%)、抽出温度(20℃、60℃、80℃)、加温時間(30分、60分、120分)についての実験を行い、次の結果を得た。i) 塩酸濃度、抽出温度と加温時間の3要因のうち、測定値への影響が最も高いのは塩酸濃度であった。なかでもナトリウム、カリウム、カルシウムの寄与率は90%以上と極めて高かった。マンガンは塩酸濃度と抽出温度の交互作用において高く、鉄は抽出温度の寄与率が塩酸濃度より高かった。ii) 塩酸濃度、抽出温度と加温時間について、元素別に検討した適用条件を述べる。・ナトリウムは、2%塩酸濃度の抽出温度60℃で、加温時間は30分ないし60分が条件として良かった。・カリウムは、塩酸濃度1%で抽出温度は20℃より高く、時間は長い方が良かった。すなわち、1%塩酸抽出における60℃120分と同80℃120分、60分の測定値に有意差が認められた。・カルシウムは、1%塩酸濃度における抽出温度、加温時間のどの条件にも有意差はなく適用できる。・マグネシウムは、1%、2%塩酸濃度が良く、抽出温度、加温時間のどの条件も適用できる。・銅は、5%と10%塩酸濃度の全条件が良く、次いで2%塩酸濃度の20℃30,60,120分と60℃30,60,120分、同60℃60分の6条件の測定値が有意に高く、塩酸濃度、抽出温度とも低い方が良い結果を得た。・鉄は、本実験の条件では10%塩酸濃度で80℃120分抽出が良い結果を得た。・亜鉛は、1%、2%、5%塩酸濃度の全条件が適用できる。iii) 同一試料溶液による8元素同時測定のために、効率的な一条件を選ぶとするならば、塩酸濃度は2%、抽出温度は60℃、加温時間は60分間が適する。
- 日本調理科学会の論文
- 1987-03-20
著者
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