鉄の乳酸菌の発育におよぼす影響の再検討 : 鉄の発育促進効果についての訂正
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概要
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既報(1981)で, 脱脂乳に添加した鉄(Fe)が1mM濃度以上で, Lact. casei subsp. casei S-1(旧分類名Lact. acidophilus S-1)およびLact. casei YIT-9018に対してかなりの発育促進効果を示すと報告したが, その際Fe塩中の不純物の影響については考慮しなかった。最近, 高純度のFe塩が市販されたので, 酸生成量を発育の指標としてFeのこの二菌株の発育に対する影響について再検討し, 次ぎの結果を得た。1. Lact. casei subsp. casei S-1およびLact. casei YIT-9018の発育におよぼす特級試薬FeCl_3・6H_2Oの影響について再検討したところ, この試薬によって両菌ともに0.1mM以上で明らかな発育促進効果を示した。2. 上記二菌株の発育におよぼす99.9%純度の試薬FeCl_3・6H_2Oの影響について検討したところ, この試薬によってほとんど発育促進効果は認められなかった。3. 上記特級試薬のMn含量を測定したところ, 0.045%であった。それゆえ, この二菌株に対してはFeのみでは発育促進せず, また, 既報の結果は特級試薬FeCl_3・6H_2Oに含まれていた不純物, おそらくMnによるものであろうと結論した。したがって, Feがこの二菌株の発育を促進するという既報の報告を訂正する。
- 1996-06-29
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