黒大豆の軟化におよぼす加熱方法の影響 (1)
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概要
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黒豆の煮方について, 古釘等を用いず砂糖のみで調味する場合の浸漬溶液温・砂糖添加時期による煮豆仕上りへの影響を調べた。1)浸漬時の豆の吸水は, 砂糖添加により阻害されるが, 加熱操作により重量増加が進み, 煮豆仕上り時において砂糖添加時期による重量の差は認められない。又, 豆表面の亀裂は浸漬時に砂糖を添加する事により若干少なくなる。2)硬度測定による煮豆の軟化は, 砂糖無添加が最も柔らかく, 砂糖を浸漬段階で添加する事により硬くなり, 特に水浸漬の場合その傾向が顕著であった。熱湯浸漬する事により軟化は一定の時点まで行われており浸漬時に砂糖を添加する場合は熱湯を用いる事が望ましい。3)煮豆及び煮豆液のpHは全て弱酸性を示し, 煮方の違いによるpHの差は認められなかった。4)煮豆の色については砂糖を浸漬時に加える事により黒色色素保留が認められた。煮豆液についても砂糖添加時期による色調の違いが認められた。5)官能検査において総合的なおいしさを順位法で評点した結果, 有意差は認められなかった。今回の実験において, 浸漬液温よりも砂糖添加の時期が問題であり, 砂糖を浸漬時に添加する事により煮上り豆の軟化は若干阻害されたが色の退色を防ぐ事ができた。特に熱湯浸漬・浸漬時砂糖添加の方法は煮上り状態に遜色なく, 調理法の手軽さもあり煮方として適しているとの結果が得られた。しかし反面, 8時間と言う時間設定の短縮が今後の課題と思われ, 官能検査と物性測定の両面より検討を重ねる必要があると思われる。
- 福岡国際大学・福岡女子短期大学の論文
- 1989-12-30
福岡国際大学・福岡女子短期大学 | 論文
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