気分の変容を規定する身体活動条件について

概要

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本稿は, 本学学生を対象として, スキーの気分に及ぼす効果と, 気分の変容を規定する身体活動条件を, 個体条件の体力・性格・経験, 上達度から検討を行ったものである。主な結果を要約すれば, 次のとおりである。1.スキー実習において気分は, これまでの研究成果と同じように, 快へと変化し, スキーの気分への効果があった。2.気分と体力の関係については, スキー後, また実習全体を通して疲労感の少ない者は, 背筋力が強い。また, スキー前の気分において, POMSの活動性因子得点の高い者は, 背筋力が強くて, 柔軟性がない。さらに, 気分の変化量において, 疲労が増している者は, 背筋力が弱いとともに, 持久力が低い。3.気分と性格の関係については, スキー前気分において, POMSの活動性因子得点の高い者は, 抑うつ的でない, 神経質である, 活動的である, 支配性が強いというような性格因子と関係が深い。また, スキー後の気分において, 緊張レベルが高い者は, 神経質であり, 攻撃性が高い。疲労レベルが高い者は, 神経質である, のんきであるということがいえる。さらに気分の変化量において, 疲労が増している者は, 抑うつ性が低い, 非協調的, のんきである, 思考的内向などであった。いわば, マイペースタイプであろう。4.気分と上達度の関係については, スキー前の気分において, POMSの活動性因子得点の高い者は, 上達が早いと予測される。次に, スキー後の気分において, 緊張レベルが高くなっている者は, 上達が遅い。5.スキー前の気分においては, グループ間に差はみられないが, スキー後にはグループ差がみられた。6.グルーピングは, 経験・体力の面から行ったが, 劣等感・神経質・協調性因子においてグループ差がみられた。以上のような結果から, 気分の変容を規定する条件は, 全体的には, 性格・体力といった個体条件からの要因が大きいようである。中でも, 体力面からは背筋力, 性格面からは神経質さという要因からの影響が大きい。特に, 気分の疲労レベルにおいては, 背筋力の強弱が, 心理的疲労にも関係が深いことが認められた。これは, 気分が身体的な健康と密接な関係があることを裏づける, ひとつの結果である。一方, グループ内の個別の気分の変化をみると, 指導者の指導法, 指導技術のレベル及びパーソナリティやグループ内での仲間などの影響も考えられる。これらが, 今後の課題として残った。
1989-06-30

気分の変容を規定する身体活動条件について

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