カツオ肝臓エキスの乳酸菌発育促進効果(その 2)
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概要
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前報にひきつづいて, 加糖脱脂乳培地におけるカツオ肝臓エキスの乳酸菌の発育におよぼす影響について検討し, 次の結果を得た。1.Lactobacillus acidophilus S-1,Lact. casei (YIT-9018)に対して, カツオ肝臓エキスの5標品は大なり小なり発育促進した。ただし, 1標品のみは高濃度(>250mg/100ml)では発育阻害作用を示した。2.この1標品の高濃度での発育阻害作用は0.1mMのMnの添加により解除され, 逆に著しい発育促進効果があらわれた。3.発育阻害作用を示したカツオ肝臓エキスの80%エタノール上澄画分は高濃度でも発育阻害作用をもたなかった。収量も約80%であり, 80%エタノール分画法は発育阻害部分の除去法として有効であった。4.上記乳酸菌2株に対して高濃度では発育阻害作用を示したカツオ肝臓エキスの添加(500mg/100ml濃度)で, 日本乳業技術協会分譲菌6株のうち, 発育阻害作用を示したのはLact. burgaricus B-5bのみで, 逆に発育促進効果を示したものは, Lact. helveticus B-1およびStr. thermophilus 510であり, 影響を与えないものは, Lact. casei L-14,Lact. acidophilus L-54,およびStr. lactis 527であり, 菌株により反応が異なった。なお, 試みた他のカツオ肝臓エキス標品は, Str. lactis 527には影響しないが, 他の5菌株には明らかな発育促進効果を示した。5.乳酸菌の発育促進物質といわれるものは, ある菌株に対しては発育促進しても, 他の菌には発育阻害作用を示すこともあり, 同じ効果を与えるとは限らないので, 各菌株毎に確認することが是非必要である。また, 発育阻害物質についても同様である。
- 1989-06-30
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