熱処理による鶏肉組織変化の鏡検的観察
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概要
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熱処理による鶏肉の組織学的変化を中国料理の「泡油」を中心として解明し, さらに日常一般的な加熱処理である家庭用オーブン, 電子レンジ, フライパン焼き, 水煮などとも比較検討を行った。1. 泡油操作では加熱により蛋白質が凝固し水分を放出するため筋線維間に生ずる間隙は, 高温短時間処理, 低温長時間処理および中間処理などと比較すると, 相対的に少なく, また, 筋線維は多角球形を保ちながら著しいゆがみや変化がなく細胞膜は明瞭で組織全般にわたって均衡を保った状態を示した。すなわち, 泡油という予備操作は, 均等な線維配列の骨格を形成することで, 肉の軟らかさと呈味成分の保留, 脱水によるサクサクとした感触などを付加することにあると考えられる。2. 日常一般的な加熱処理では, 家庭用オーブン, およびフライパン2分焼きが, 泡油に次いで安定な組織像を示し, これらの調理器具においても最適な温度と調理操作が可能であることがうかがえた。3. カードメーターによる鶏肉の弾性力を加熱処理のちがいによって示すと, 鶏肉の新鮮標本を1とした場合, 家庭用オーブンは2.1,フライパン2分焼きは3.1,泡油2.7(本調理操作後では3.3)ときわめて軟らかく高温短時間処理がこれにつぎ, 水煮, 電子レンジなどの順となる。以上の結果はまた, 組織学的所見ともきわめて一致していた。
- 福岡国際大学・福岡女子短期大学の論文
- 1979-12-31