グルコースとグリシンによる褐変反応液の分画および得られた各画分の DCIP 還元能について
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概要
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Glu-Gly-P系, Glu-P系を120℃に20,40,60分間反応させて得られる褐変反応液について褐変度, DCIP還元能を調べた。またさらにその褐変反応液を透析したのち, 得られた各画分の褐変度, 色素の分布, DCIP還元能, 紫外部吸収スペクトルの変動について, また褐変反応液, 透析内液, 透析外液とアスコルビン酸のDCIP還元性について比較検討して次のような結果を得た。1. Glu-P系を加熱するとかなりの着色ならびにDCIP還元能が認められるが, これにグリシンを添加して反応させることにより褐変度, DCIP還元能いずれも増強された。2. 褐変反応液(Glu-Gly-P系, Glu-P系), を透析して透析内液, 透析外液を得た。それら各画分の褐変度は, Glu-Gly-P系の内液で17.67%(無透析区分に対して), Glu-P系では25.94%(無透析区分に対して)となっていた。透析外液については, Glu-Gly-P系で97.78%, Glu-P系では98.33%であった。つぎにGlu-Gly-P系, Glu-P系の透析内液および透析外液のDCIP還元能は33.45%, 5.98%, 65.16%, 71.81%(それぞれの無透析区分に対して)であった。また透析内液+加熱濃縮外液区分のDCIP還元能は, Glu-Gly-P系で90.94%, Gly-P系で83.76%であった。3. 透析内液, 透析外液区分の色素の分布は, Glu-Gly-P系, Glu-P系共に無透析区分にくらべて黄色味が少なく, 青色味が多かった(色が暗くなる)。また透析内液と外液とでは両系共に外液の方が黄色味が多く, 青色味が少なくなっていた。つぎにGlu-Gly-P系とGlu-P系の色素分布はGlu-Gly-P系(無透析区分, 外液, 内液)の方が, Glu-P系にくらべて黄色味が多く, 青色味が少ないことが観察された。4. 褐変反応液, 透析内液, 透析外液の紫外部吸収スペクトルを測定した結果 1) 加熱終了直後の褐変反応液の極大吸収波長はGlu-Gly-P系で295mμ, Glu-P系では275mμにあった。ii) 透析内液の極大吸収波長はGlu-Gly-P系で270mμ, Glu-P系では265mμにみられた。iii) 透析外液の極大吸収波長はGlu-Gly-P系で275mμ, Glu-P系では265mμにみられた。iv) 冷蔵庫保存中における無透析試料の極大吸収波長の移動はGlu-Gly-P系で295∿265mμGlu-P系で275∿265mμに移動していた。5. 褐変反応液, 透析内液, 透析外液のDCIP還元性について水素供与性の関点からアスコルビン酸と比較したが, アスコルビン酸の水素供与性にくらべて弱かった。また褐変反応液, 透析内液, 透析外液とDCIPとの反応はアスコルビン酸とDCIPとの反応と異なるものと考えられる。
- 福岡国際大学・福岡女子短期大学の論文
- 1978-03-31
福岡国際大学・福岡女子短期大学 | 論文
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