家蚕の絹糸腺に関する研究 : IV. 家蚕絹糸腺における形態異常とその淘汰
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概要
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Nd 蚕絹糸腺の特異性に関する研究において, 多数の蛾区の熟蚕絹糸腺の形態を観察している時, 数種の極端な異常型絹糸腺を見出した。これら異常絹糸腺の形態を観察すると共に, その後代について同様の異常型の出現状態を調査した結果の概要はつぎの通りである。1. 1959年の一蛾区において, 片方の絹糸腺を欠如する奇型蚕数頭を見出した。その後代にも同様の奇型蚕が得られたので, この形質は明らかに遺伝的, 多分モザイク性である。2. Nd 蚕の中部絹糸腺が普通よりも著しく小さい奇型蚕が別の蛾区で見られた。この中部絹糸腺の形態は, そのセリシン分泌が遺伝的に著しく劣っていることを暗示している。3. 片方の絹糸腺を完全に欠如するものから軽微の奇型のものまでの多くの変異が見られた。さらに奇型の程度によって, Filippi 腺が存在することもあるし欠如していることもあった。この事実は Filippi 腺の発生分化が絹糸腺とは一応無関係であることを暗示している。4. 奇型絹糸腺への気管分布は, 正常のものから著しく変化しているものまで様々のものがあった。極端な例では絹糸腺の反対側からさえも気管の分布を受けていた。
- 福岡国際大学・福岡女子短期大学の論文
- 1973-03-31
福岡国際大学・福岡女子短期大学 | 論文
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