山と川の心
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概要
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超大国の緊張関係は,われわれが今日直面する真の問題の正体を見極める作業に,ちょうど間に合うかたちで終焉した。その問題とは,生態的な大災害,あるいは生態的自殺(エコサイド)である。多種多様な環境破壊に対処するため,首尾一貫しない方策が取られているなかで,われわれはますます次のような疑いを抱くようになった。すなわち,われわれの手中にある問題は,「天然資源」を単に保存する必要以上のものなのではないか。必要とされるのは,われわれ自身と地球との関係についてわれわれの理解の仕方を根本的に変えることである。本稿では,仏教がこの方面で洞察していることと,「ディープ・エコロジー」とを比較したい。両方の見方とも,これを道徳の問題から理解の問題へと変換させているが,それは両方とも,事物の本性を鋭く洞察しているからである。すなわち,事物はバラバラに存在しているのではなく,統一的な生態的システムのなかで互いに結びついているのである。
- 文教大学の論文