電気事業の経営効率と総要素生産性の国際比較 : Stochastic Frontier Production Modelによる実証分析
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概要
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This paper examines efficiency and productivity of electric power companies for international comparison. There are two methods to estimate efficiency and productivity: stochastic frontier production function method (SFM) and data envelopment analysis method (DEA). SFM is the econometric approach and DEA is the linear programming approach, we used translog SFM, originally developed by Aigner-Lovell-Schmidt and extended particularly by Battese-Coelli, who presented alternative models: time-varying inefficiency model and technical efficiency effects model. Utilizing panel data model with Hicksian non-neutral technological change, we can estimate Malmquist total factor productivity (TFP) growth, which is the product of technical efficiency change and technical change. We used panel data of 18 electric utilities of such countries as Canada, Germany, Italy, Japan, Korea, and USA which are owned publicly, privately and public-private mixedly from 1991-95. Empirical analysis shows following results : technical efficiency of publicly owned companies are better than privately owned; TFP is increasing slightly in 1990's; Japanese utilities are mostly higher efficiency than average in each year. 本稿の目的は、1990年代における世界の主要電気事業者の経営効率および総要素生産性を推計し、比較分析することである。電気事業の企業形態は国営、州営、公私混合営、私営と多岐にわたっているが、最近の規制緩和の進展ととともに、発電市場や小売市場における競争の導入や民営化など電気事業のリストラクチャリングが急速に進められている。このようなドラスティックな変化のもとで、電気事業は生き残りをはかるため、生産性を向上させ、経営効率を改善していく必要に迫られている。 企業の経営効率と生産性を測定する代表的手法としてStochastic Frontier Method(以下、SFM)とData Envelopment Analysis(以下、DEA)の2種類あり、いずれもFarrell(1957)に基本的アイデアを負っている。SFMおよびDEAはフロンティア関数の推定と生産効率を測定するための代替的方法である。DEAは線形計画法を用いるのに対して、SFMは計量経済学的方法を利用する。Farell(1957)は次の二つの要素からなる企業の効率を測定する方法を提案した。第1に、技術効率性で、これは所与のインプットのもとでアウトプットを最大にする企業の効率を測る。第2に、配分効率性はインプット価格を所与としてその最適な組み合わせを達成する企業の効率を示す。そして二つの尺度を結合して総合効率性が得られる。 この効率性の尺度は完全効率企業の生産関数が既知と仮定されている。しかし生産関数は実際には未知なので、Farrellはノンパラメトリックな線形の技術を用いるか、コブダグラス型のパラメトリックな関数を用いて、サンプルデータから関数を推定する方法を提案している。前者の考え方はCharnes and CooperらによってDEA法として発展し、後者はAigner and LovellらによってSFM法として発展してきた。1) 本稿ではSFMを用いて、2節でフロンティアモデルの理論的側面を解説し、3節でSFMをパネルデータモデルに拡張し、技術非効率を表す確率変数が時間的に可変するモデル(Time-varying Inefficiency Model)を示し、技術効率を推定する方法を述べる。4節でMalmquist指数を用いて技術効率と総要素生産性(Total Factor Productivity, 以下TFP)を推定するモデル(Technical Efficiency Effects Model)を述べる。5節で以上の理論モデルにしたがって電気事業の経営効率およびTFPを推計し、日米独伊加韓国の6力国について公営私営による経営効率やTFPの差違を比較分析する。2)
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