マーケティング・チャネルの変化と卸売業者の重点機能
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概要
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The objective of this paper is to explain changes of marketing channels that the major consumer goods manufactures construct and the functions required for wholesalers. First, I clarified the real state of the reaction and the revision that major consumer goods manufactures made on their marketing channel construction after the bubble economy broke down in 90's. One reason of the revision is that previous policy for channel, which was constructed through high growth period until 80's, had become ineffective since its basis had collapsed by changes in structure of consumption and distribution caused by the bubble burst. Another reason was the shift of the power holder toward the major large-scale retailers. Backed by their buying power, they gained more power on distribution process and got to hold the leadership in marketing channel. Under the development of those distribution's structural changes, major consumer goods manufactures' marketing channels reached their limits and we began to see the cases of constructing alternative collaboration relationship such as tie-ups with some major distributors to cut distribution cost or to develop new products. I explained the effects and problems of those new relationships called manufacturer-distributor alliance. Then, I pointed out the functions wholesalers should hold under those changes and that wholesalers should make positive actions for the industry's systematic reconstruction to strengthen those functions. 1990年代に入り、いわゆるバブル崩壊後に、わが国の消費・流通構造が大きく変化したことから、大手消費財メーカーは、流通系列化を軸としたマーケティング・チャネルの見直しを行ったが、その背景は何であったのか、また、その対応は有効に作用しているのだろうか。また、大手流通企業へのパワー・シフトもマーケティング・チャネルの見直しを迫るものであったが、大手流通企業のパワー・シフトはいかなる要因によってもたらされ、大手消費財メーカーのマーケティング・チャネルにどのような影響を与えたのか。今後のマーケティング・チャネルの動向を的確に把握するためにも、これらの実態を分析し、明らかにしなければならない。 そして、上述のような大手流通企業のパワー・シフトによる拮抗力パワー (countervailing power) が成立すると、メーカーとの間にパワー奪取の競争が発生する。しかし、このようなパワー闘争を展開することは実りないと気づき、パワー闘争するよりもメーカーと大手流通企業が信頼に基づき長期的に継続する協力関係を構築しようとする試みが行われた。これが、製販同盟であった。この製販同盟は、パワー・コンフリクト論から協働関係論への、チャネル研究パラダイムの転換であると主張する意見もあるが、わが国における製販同盟は、本格的な取り組みが行われているものは、ジャスコと花王、相鉄ローゼンと菱食等、数事例にすぎないことから、チャネルの協働関係については、その動向をもう少し見極める必要があると思う。 次に問題になるのが、このようなマーケティング・チャネルの見直しは、流通系列化のもとに組み込まれている卸売業者にどのような影響を与え、それは、卸売業者の果たすべき機能に変更を迫るのかどうかという点である。実態調査によれば、メーカー、小売業者の求める重点機能に変化がみられ、卸売業者はそれに十分対応しておらず、課題が残っている。このような課題に対して、卸売業者、特に中小卸が単独で対応することには限界があり、卸売業者間連携を含めて、業界再編成にも積極的に取り組む必要がある。 本稿は、このような問題を念頭に置いて、大手消費財メーカーのマーケティング・チャネル構築の変化の動向と実態を明らかにするとともに、卸売業者の求められる重点機能とその取り組み課題を論述した。
- 文教大学の論文
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