揚げ加熱中の食品表面近傍の油流の伝熱学的解析 : コロッケとドーナツの比較
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概要
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食品の加工・調理の多くは,加熱操作をともなう。その結果,タンパク質の熱変性やデンプンの糊化等,個々の食品成分に質的な変化が生じると同時に,試料全体の膨化,表面部位の亀裂や着色等,食品の外観にも種々の変化が併発する。このような外観の変化は,調理食品の食感要素を左右する重要な問題でもある。 著者は,これまで食品の加熱時に発生する亀裂現象に注目し,揚げ加熱,蒸し加熱,天火加熱等多様な加熱方法に適用可能な亀裂発生条件の理論的予測を試み,これをコロッケとドーナツを対象試料として実験し,理論の妥当性を種々の側面から検証してきた。この一連の研究において,食品と熱媒体とが互いに接する界面での熱交換現象や食品内部への伝熱機構の詳細を追求することが,食品の加工・調理における亀裂発生の正確な予測と,その完全な制御のために必要であることを痛感した。食品が多くの成分と複雑な組織・構造を有する非平衡系であることから種々の実験的困難をともなうことが予想されるが,食品と熱媒体との界面における熱交換,および食品内部への伝熱現象の各機構を解明する一つの方法として,光学的手法を用いた新しい伝熱測定法を導入したいと考えた。そこで今回もこれまでの研究試料として用いた,食品表面部位の組織・構造が異なるコロッケとドーナツを対象に,湯げ加熱の熱媒体である油の試料表面とその近傍における対流を,ストロボ発光体を付した高速ビデオカメラで追跡記録し,試料表面における熱交換現象の詳細を試料状態と併せて解析することを試みた。同時に加熱にともなう試料内の温度変化を追跡し,試料表面における伝熱機構を考察した。この研究は継続中であるが,これまでに得られた知見について報告する。
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